北京雑感―27       
         北京のマラソンコース

 

817日の日曜日は、朝からテレビの前で、オリンピックのマラソン観戦を決め込みました。レース結果は、期待外れでしたが、「勝敗は時の運」と納得すべきものなのでしょう。

 スポーツの実況中継には余り興味の無い私ですが、国内で行われるマラソンや駅伝は、スタートからゴールまで見続けて、家族にはよく笑われます。それでも、一所懸命走る選手の姿を見るのが好きで、駅伝ともなると、アクシデントに見舞われた選手の、チームに対する思いなども感じられて、全コース目が離せません。また、レースが行われている場所に行ったことがなくても、放送での紹介や、沿道の人々の応援を見ていると、街の雰囲気まで感じられるようで、そこに行ったような気になったりもして楽しめます。

 今回の北京市内のコースは、よくバスで通ったり、テクテク歩いたりした地域なので、なおさら懐かしく、是非見たいと思ったのでした。ところが、今回の北京マラソンの中継は、共通映像とかで、他社(国)が撮影した映像しか使えないため、国内でのレース実況とは全然違って、コースの具体的な紹介は無く、地域の映像も余り見られませんでした。実況の(と言っても、当然、映像を見ながらの放送ですが)アナウンサーが話す道路の名前を聞きながら、地図に印を付けました。映像を見ただけでそこがどこか分かるのは、ほんの5,6箇所しかありませんでした。後は、アナウンサーの説明を聞きながら、ここを曲がって、あそこを通ってと、地図の上とテレビの画面を見比べていたので、懐かしむ余裕などありませんでした。

おまけに、アナウンサーが「かいていろ」と紹介した時は、思わず、「え、そんな道あったかしら」と思ってしまいました。私が予想していた道とは違う道から北京大学へ入ったので、「かいていろ」が直ぐには分からず、危うく迷子になるところでした。この道は、「海淀路」のことで、「haidianlu(ハイディエンルー)」と呼び習わしているものです。私の中国語は、発音が不正確、四声はデタラメで、なかなか通じないのですが、バスに乗った時は下手でも中国語で言わないと切符も切ってもらえませんから、中国語の呼び名になれているので、一瞬「かいていろ」とはどこだろうと思ってしまったのでした。

北京大学へは、西門から入って東門に抜けたのですが、この東門は、3年ほど前のものとは違います。以前の東門を私は知りませんでした。中関村北大街の東側にある北京大学は、3年前まで、レンガ塀の向こう側にあり、道端には、塀に寄りかかるように小さな家が立ち並んでいました。それが2年前に行ってみると、その家が取壊され、工事の囲いがしてありました。そして昨年、大通りに面して、すっきりした大学の門が出来ました。それで、私が「北京大学に東門が出来た」と言いましたら、中国人の友人が、「東門は前からあった」と言って地図を見せてくれたのですが、何とその地図は、道路そのものが現在のものとは違っていました。以前は、中関村北大街すらなかったのです。四環状線の工事と同時に、北京大学の校地も整備したようで、私が気付かなかったのは、既に四環工事の囲いの中に入っていたためのようでした。10年前のこの辺りを良くご存知の方が、「北京大学の東門を出て北上し…」という放送を聴いても、イメージがわかないのではないかと思います。

因みに、昨年、私は北京市街地図を買おうと思って、本屋さんを何軒も回ったのですが、種類が極端に少なくて、満足なものがありませんでした。どうしたのか不思議でしたが、市内のあちこちで道路が新設されて、以前と様子が変わっているので、少し落着くまで地図の発行を控えているのだろうと、勝手に想像しています。郊外のこの辺りのみならず、中心街の前門周辺までも新しい道路が出来てすっかり変わっていますから、これからの市内散歩には、新しい地図が絶対必要です。

その後、レースは清華大学の西門から入って東門へ抜けたようですが、テレビでは「南門を出た」と言っていました。確かに、東へ走ってから南へ曲がり、そのまま門を出て行ったので、南門と思われたのでしょうが、その後の道筋や、門周辺の様子から見て、あの門は、清華大学の正門として最近周辺整備が終わった東門だと思われます。南門は、もう少し西よりにありますが、雰囲気が違います。

沿道の応援は随分制限されていたようです。清華大学構内は、応援には絶好の場所と思ったのですが、沿道での応援が許可されなかったようです。大学構内に住む友人と、「応援の様子がテレビに写ったら楽しいから、目立つように応援してね」と話していたのですが、応援は、交差点で水路を隔ててのみ可能だったようで、テレビ上で友人との再会は果たせませんでした。

それにしても、マラソン選手は随分早く走るものですね。私が40分以上かけて歩いた平安里路の距離を、10分足らずで走り抜けて行きました。
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