北京雑感―9

       北京の公園ーⅠ
 
 

蓮花池公園は、外側が公園らしくなくてびっくりしましたが、玉淵潭公園は、どの門前も、外側から既に公園のようで、ゆったりとしています。
東側は、釣魚台に連なっていて、釣魚台の東側を走る道路、三里河路は、北の阜城門大街から南の復興門大街まで、道路そのものが公園のようです。
夏の強い日差しの中でも、喜んで歩きたくなるような道です。

玉淵潭公園には、日中国交回復を記念して、田中角栄が贈った桜の木を中心とした、桜桃園があります。
中国の方々の話によると、桜の花の最盛期には、歩くのが困難な程に、人々が集まるそうです。
私が訪れた時は時期が遅く、花の印象は今一でしたが、この桜桃園へ行く道が素敵でした。池の中に延びた道を辿るのですが、両側の池の畔に柳の木が植わっていて、芽吹いて間もない新緑が風に揺れる中を歩くと、足が独りでにスキップを始めそうでした。

この公園のもう一つの売り物は、大きな池です。
本当に街中かと思う程に大きな池があって、私が行った
4年前には、人々が泳いでいました。泳ぐのには、ちょっと勇気が要るような水でしたが、10人くらいの人が泳いでいました。
そういえば、以前は、あちこちの公園で、泳いでいる人々を見ましたが、最近はさっぱり見かけません。やはり規制が厳しくなっているのでしょうか。

この池は、公園の名の通り、玉淵潭と言いますが、どこでどう区切るのか、一部を八一湖と言い、そこから遊覧船が出て、北の頤和園まで1時間ほどの船旅が楽しめます。
八一湖を出て西に向かい、丁度三環と四環の間にある、藍靛廠路という道に沿って北上します。
途中で、紫竹院から出てくる水路と合流するのですが、その付近は遠大路と言い、最近大きなショッピングモールが出来て賑わっているところです。

因みに、このショッピングモールは、東洋一とかで、大きな商場が多い北京でも、一際大きなものです。規模も大きいのですが、売っている物のお値段も高級です。
ここでの値段を見る限り、中国は物価が安い、とはとても言えません。それでも、大きな駐車場はいつもいっぱいで、沢山の人が車で集まって来ています。
車とお金がないと利用しづらい所ですが、利用者は確実に増えているそうです。でも、モダン過ぎて、高級すぎて、私には馴染まないショッピングモールです。

さて、船は、ショッピングモールを左手に見て、更に北北西へ進むと、間もなく、頤和園の南門に着きます。頤和園の入場料込みのチッケットですと、門を入って頤和園の池まで船で入れます。とは言っても、門を入ればすぐ船着場ですから降りなければなりませんが……。入場料の含まれていないチケットだと、南門の外で降ります。この門は、頤和園の裏門のようなものですから、ここから正門の方へ回るには、頤和園の外壁に沿って歩かなければなりません。頤和園の見学をしないのなら、南門の前に停留所があり、途中まで船のルートを戻って行く374路バスに乗って帰るのが良いでしょう。

頤和園南門の一つ手前のバス停は、六郎庄西口というのですが、3年ほど前に一度間違えて降りて、一停留所分歩いたことがありました。左に水路を見ながら歩くと、右側にはごく浅くて幅広い溝があって、溝の脇は、幅20メートル程にわたって、雑木林のようになって、道に沿っています。雑木林と言っても、木々は、背の高い立派な街路樹が多くて、その木立の間から、時々、広々として、ゴルフ場のようにグリーンで覆われたなだらかな起伏と、玉石を浅く敷き詰めた、人工のせせらぎのような水路が見えました。暫く行くと、自然を生かした釣堀があって、多くの人が釣り糸を垂れていました。キャンプ場の案内があったりして、人々の野外活動の中心のようでした。これが、万柳公園の西の端で、なかなか素敵な公園のように見えましたが、入ってみる時間はありませんでした。

公園の外側の道は、3年前でさえ、右側に車がびっしり駐車して、定期バスが走りにくそうでした。今では、きっと道路の拡幅工事をして、雰囲気が随分変わっていることでしょう。公園の周りにあった林のような木立はどうなったでしょうか。
もしかしたら、広い駐車場になっているかもしれません。

当時の道端は埃っぽくて、ごみもいっぱい捨ててあって、決して綺麗ではありませんでしたが、ごみさえなくなれば、高原の道のような雰囲気があって、なかなか捨てがたいものでした。
あの道路の拡幅工事は必要ですが、スペースにゆとりがあるのですから、あの道端の雰囲気も少し残して欲しいと思うのは無理な相談でしょうね。
私の乏しい見聞からも、中国の改良工事は、大規模で、思い切ったものが多く、幅
1メートル程の線路際の道路が、道幅30メートルの大通りになっているのにびっくりした経験がありますから。

皆さんは、変わり行く北京がお好きですか?
私は、正直なところ、あまり好きではありません。北京らしさがありませんから。

inserted by FC2 system