北京雑感―8
 

ご存知のように、北京は公園の多い町です。
東京でいえば、
23区内と言った位置づけ(尤も、これは私の勝手な解釈ですから、異論は多々あると思いますが…)の三環状線の中でさえ、玉淵潭公園、蓮花池公園、北海公園、朝陽公園等等があり、皆、大きな池を抱えています。
北京の公園は、池を中心にした公園が多く、その池の大きさと言ったら、日本庭園の築山とセットの池からは、想像も出来ないものです。

北海公園など、是が北京と言う大都会の中心にある公園かと眼を疑ってしまいます。そして、この池の水は、国家組織の中心がある、中南海に繋がっているせいでしょうか、とでもきれいです。周りには大きな街路樹が多く、昔ながらの家並みが続いたりして、不思議な雰囲気を醸し出しています。
この辺りは、北京市が、古い四合院を残そうと、遅まきながら、動き出し、家の改築に、古い色のレンガを使えば、補助金を出すことにしたそうで、あちこちに、灰色のレンガの塀が出来筒あります。

北海がくびれて、北海公園が終わっても、水は后海へ続いています。
后海の回りは、公園ではありませんが、道筋や、建物の雰囲気は北海の周りと同じで、補助金も出ているそうです。
でも、この辺りは、既に、古い感じをそのまま使って、ちょっと趣のあるお店や、バーが出来ています。
道を隔てて、水が見える所で、鬱蒼とした街路樹の下に、テーブルや椅子を出し、中には、屋上にもテーブルを置いて、緑に手が届くような席を設けているところもあります。
散歩の途中で、あんなところに腰掛けて、一休みできたらいいなあと思いますが、これらのお店は、夜になるとバーになるので、昼間といえども、独りで入るのはちょっときがひけます。この辺りは、夜見ると、ネオンの色がきれいなところです。
今までは、バーと言うと、朝陽区の三里屯が有名でしたが、最近は、若い人達がこちらへ出てくるようになったそうで、三里屯は、ちょっと寂しくなったと聞きました。

バー街の道は、昼間の散歩にもいい道ですが、狭い道端に、自動車が駐車していて、歩きにくくなってきました。いっそのこと、自動車は進入禁止にして、観光用の人力車を、生活の脚に使ったら良いのではないかと思うのですが……。

北海公園は、公園の中ばかりでなく、周りもきれいな公園ですが、それと対象的なのが、蓮花池公園です。この公園の歴史は古くて、北京が北京になるまえから、ここにあるのだそうですが、公園の周りは、あまり綺麗ではありません。

私が初めてこの公園に行った時は、西門の近くでバスを降りたのですが、知らずに南の方へ歩いしまい、南の門があるだろうと、更に東へと、公園を左手に見ながら歩いたのですが見当たりません、道が少しずつ公園から離れていくので近寄りたいと思うのですが、その方向には、とても公園に続いているようには見えない、言葉は悪いのですが、貧民窟のようなところがあるので、その道には入らずに行くと、大きな交差点に出て、公園のふちの終わったことが知れました。
この交差点を北に行けば北京西駅があり、そこに入り口があるのはわかっていましたが、南の入り口がどうなっているのか知りたくて、近くの人に聞いたら、あの貧民窟の入り口のようなところを入って行くようにと教えられました。

思い切って入っていくと、公園の塀を頼りに屋根をさし掛けただけのような家が並んでいましたが、その先に、それらの家々と同じように貧相な門がありました。
あまり利用されているようには見えませんでしたが、人がいて、入園料
3元と書いてあったので、やっと公園の中に入れました。
門を入って暫く行くと、大きな池が目の前に広がりました。周りを歩くと、緑が多く、よく整備されていて、小さな岩山から水が流れ落ちているところもありす。蓮の花の季節は終わっていましたが、水面に蓮の茎がいっぱい残っていて、花の季節には綺麗だったろうと想像でき、ぜひ花の季節に来てみようと思いました。

そして、今年、花の季節に又行ってみました。
蓮の花は期待に違わずすばらしく、南西側の岸から、手前に蓮の花を見て、対岸に朝もやにけむる北京西駅の駅舎を望むと、ちょっとした墨絵の雰囲気を味わうことが出来ました。

7時前にバス停に着いたのですが、バス停の周りや歩道橋にはごみが散乱していて、足の踏み場もない状態でした。人も多くて、食べ物屋さんがいっぱい出ていました。雰囲気が雑然としていて、とても、あんな綺麗な公園の外側とは思えません。
北京の意外性には大分慣れた積りでしたが、やはりショックでした。

こは北京西駅に近いので、汽車を利用する人たちが朝早くから利用し、ひょっとしたら夜をすごした人もいたのかも知れません。
そして、清掃の人たちの活動前なので、あんなに散らかっていたのです。そう考えれば、これも北京の顔の一つということが出来ます。
改めて、北京の奥深さを感じます。

 

inserted by FC2 system