北京雑感ー7


 北京は、私にとって、健康的な街です。

 中国料理は大好きなので、毎食美味しく頂くのですが、体重は、日本に居るときより減って、ベスト体重に近くなります。
今回も、来て1週間で1キロ減りましたが、これは、北京の生活のお陰と言うより、日本での、「残り物を、ゴミにしない(胃の中へ捨てる)」生活から脱却したせいでしょう。
しかし、その後すぐに、例年のように4キロ減りました。これは、まさしく北京での生活の賜物です。

 北京の人々は、一般的に言って、朝食は比較的軽く済ませます。
それでも、外で食べるとなると、お粥か豆乳と油条か餅{小麦粉を練って、平たくして鉄板で焼いたもの――ひき肉を炒めたものや、小豆餡(あまり甘くない)が入ったものもあります}、或はワンタンや包子、ゆで卵等を食べます。家で頂く時は、上記のようなものがなければ、ちょっとした点心と牛乳など、かなり自由にあるもので間に合わせます。
その代わり、昼と夜は確り食べます。甘いものでお茶を飲むと言うことはめったにしませんが、食事の中に甘いものが料理として出て来ることがあります。
昼食の後、家にいれば必ず1時間ほど昼寝をします。

 以上のように量もたっぷり、油分の多いものが多く、おまけに昼寝まで付いているのですから、普通なら、体重は増えこそすれ、減りません。
ところが現実にはちゃんと減っているのですから、やはり、北京での「歩く生活」が功を奏しているのだと思います。
北京の観光旅行では、故宮でも、天壇公園でも、「バスはあちらの門で待っています」なんていわれて、内部を2時間も歩かされますね。普段の生活もあれと同じスタイルで、ちょっと近くへ買い物に出ても、3000歩は歩きます。
私の住んでいるところは、バス停から近くて、部屋から出て5分もすればバス停につきますが、帰りは、道の反対側から、自転車の分も含めて12車線ある三環路を跨ぐ歩道橋を渡ってこなくてはなりません。
行き先が個人のお宅だと、小区の囲いがあるので、門まで回って行かなければならないし、中心街だと、ビルの一つ一つが大きいので、隣のビルへ行くのにもかなりの距離を歩かなければなりません。
そんなわけで、一旦出かけるとすぐ1万歩は歩くことになります。

 北京では、不思議に歩くことが気になりません。
初めは、「運転手さんに行き先を分かってもらえないだろう」とか「遠回りをされたら癪だし…」などと、タクシーに乗るのが怖くて、消極的にバスを利用したのですが、バスは視点が高くて、街の様子が良く分かるので乗るのが楽しくなり、今では積極的に利用しています。
3,4年前には、座席の座面が取れてしまうようなバスが走っていましたが、去年辺りは、流石にそんなバスは見かけなくなりました。
でも外見は汚らしくて、クラッチの丸い頭の部分が外れてしまって、運転手さんが慌てて、転がった部品を追いかけているのを見たこともありました。
それが、今年になると、殆どのバスが新しくなって、観光バスと見紛うばかりの路線バスも見かけます。
乗り心地も良くなったかと期待したのですが、車台、エンジンは同じだし、運転手さんも同じなので変わりませんでした。

 ところが、大きく変わった点が一つありました。
それは、各バスにカードリーダーが設置されて、バスカードが使われだしたことです。
以前は、通勤や通学の定期はあったようですが、かなりのバスが「月票無効」と表示して、現金でしか乗れませんでした。
ところが今度のバスカードは、交通局が発行するプリペイドカードで、JRのスイカと同じように、カードを20元で買って、80元とか100元とか纏まった金額を払い込む方式です。地下鉄も、軽軌も同じカードで乗れます。バス料金は、路線によっては2割引になるので、随分たくさんの人が利用しています。
私も地下鉄の切符売り場で買いました。因みに、このカード、全線均一料金の路線は乗った時に読ませるだけでいいのですが、距離制をとっている路線は、降りるときにも読ませないと、全線分チャージされてしまうのだそうです。
何はともあれ、スーパーでの買い物と同じように、バスも、黙って乗って目的地までいけるようになりましたが、私の中国語にとっては好い事だとばかりは言っていられないような気もします。

 バスが便利になったのに引き換え、タクシーは不便になりました。
最近の原油の高騰が原因で値上げし、以前は初乗りが1.6元と1.2元の2種類あったのに、今回、一律2元になりました。
ガソリンが高くなったので、以前のように流してはいられないと、道端に停まって客待ちをするタクシーが増えて、前は手を挙げるとすぐに停まってくれたのに、最近は空車がなかなか来ません。
料金は高くなるし、捕まえにくくはなるしで、利用者には不便ですが、運転手さんも、自家用車が増えてタクシーの利用者が減ってきたところへ、値上げが重なって、厳しい時代が到来したと感じています。

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