大連だより・日本語教師雑記D

キリスト教会を訪ねて

 今回は大連市内と荘河にあるキリスト教会の状況や日曜日の礼拝に出席した折の様子などをレポートしたいと思う。

  中国ではキリスト教はあまり表面立って活動できないとか、あるいは弾圧されているというような声を耳にするが、果たしてそうなのだろうかと大いに興味があった。

 日曜日教会に出かけると、どこでも教会の中は人でいっぱいで、ぎりぎりで行ったり少しでも遅れて行ったりすると、会堂の中には入れず、外でマイクを通しての話を聴くことになる。また、教会によっては、日曜日に何度も礼拝が行われているところもある。おそらく教会に来る人の数の割には教会数が少ないということが言えるのかも知れない。どの教会も入りきれない人々が外で聴いているのを目にすると、中国で教会の活動が制限されているというようなことは到底信じられない。

 中国のクリスチャン人口は、プロテスタントが1500万人、カトリックが300万人という数字が出ているが、全人口が13億人を越えているので、人口の割には多くはない。しかし、日本のクリスチャン人口が1%強程なのに比べると、はるかに多いことは確かである。

 大連に住む知人の調査に基づくと、大連市内にプロテスタントとカトリックの両方を合わせて主要な教会が7つあり、この数ヶ月時間をみつけて、いくつかの教会をその調査をもとに訪ねてみた。他にももちろん小さな教会があるかもしれないので、実際の明確な数はわからない。これらの教会以外に教会ではないが、外国人を対象にした集会もいくつかある。教会や集会に出席した状況から、中国におけるキリスト教の様子を幾分か垣間見ることが出来るかも知れない。

 大連にある7教会は次の通りである。1から4と6・7までがプロテスタント教会で、5がカトリック教会である。中には戦前からの古い教会もある。

1.基督教玉光街礼拝堂 2. 承恩堂(旧北京街教堂)

3.興工街礼拝堂(朝鮮人を対象とする)

4.基督教大連豊収堂  5.大連市天主教堂 

6.金州礼拝堂     7.旅順礼拝堂

 「基督教玉光街礼拝堂」は中山広場のすぐそばにあり、かつて英国大使館があったところにある。11月のある日曜日に礼拝に訪れたところ、それほど広い会堂ではなかったが多くの人が詰め掛け、入りきれない人々が寒空のもとでメッセージを聴いていた。この教会はかなり歴史のある教会のようで、1928年イギリスと日本の聖公会が共同で建設したそうである。そのため教会の敷地はかって英国大使館のあつたところに建てられたそうである。

 「承恩堂」は基督教玉光街礼拝堂と同様古い歴史を有する教会で、同じく1928年にデンマークのルーテル教会が建設し、かつては北京街教堂と呼ばれてたが、2006年11月に承恩堂となった。ここも1日に何回も礼拝があり、毎回多くの人々がつめかけているようである。

 「興工街礼拝堂」は朝鮮人を対象としたプロテスタントの教会である。中に入ることは出来なかったので、内部の様子は分からない。資料によると、この教会はもともと友好広場の現在KFCの所にあった日本長老会の分会として建てられたが、戦後に朝鮮族の教会となったそうである。

 「基督教大連豊収堂」はまだ行っていないので、どのような教会か分からないが、近く行ってみたいと思う。資料によると、この教会はわりと新しい教会で、2001年に出来たとあり、4000人も収容できるそうである。飛行場・西北路と東北高速公路・金三角の中間点にある。

 「大連市天主教堂」は歴史あるカトリック教会で、日本時代の1926年にメリノール会が建設する。多くの日本企業が入っている大連森ビルから北へ5分くらいのところにある。

 大連にはその他に「金州礼拝堂」と「旅順礼拝堂」という教会があるが、詳細はわからない。 

 荘河にある教会には、9月末に初めて訪ねてからもうすでに6〜7回日曜日の礼拝に出たことになる。寮から歩いて15分くらいのところにあるので比較的行きやすい。 教会の名前は「荘河市基督教新華街道教堂」と言い、プロテスタントの教会である。教堂とは教会のことである。毎週日曜日午前8時から9時半まで聖日礼拝がある。しかし、実際8時と言っても、この時間に行くと、もう入りきれないほどで、20分前に行ってどうにか座れるくらいである。礼拝の前に30分位賛美歌の練習(?)が行われている。来ている方たちは割りと中高年の人が多いような気がする。あまり若い人は見かけない。15・6人から成る聖歌隊もおり、賛美の際の斉唱の指導をしていたり、礼拝の前に歌ってたりしている。

 礼拝は牧師の祈祷から始まり、信仰告白、賛美、牧師のメッセージ、主の祈り等全体の流れは日本の教会と変わらない。ただ、違いがあると言うならば、中国の教会のほうが熱気にあふれているという気がする。信仰告白の時の熱気は凄まじい。個人個人で声に出して祈るが、その祈りは大きな声で10分以上も続いている。また、牧師のメッセージの時にも、「そうだ!そうだ!」(そう思うが・・・)と言うような声がしばしば入る。メッセージの内容はほとんど分からない。時々聖書に出てくる人物の名前や地名などが聞きとれる程度で、すべて中国語で話されており、皆目分からない。隣に座っている人が聖書の箇所を教えてくれたり、歌う賛美歌の番号を教えてくれたりする。私が賛美歌集を持っていないのがわかると、自分のものを見せてくれたりした。12月23日はクリスマスの礼拝が行われた。

 教会での礼拝以外でも、主として外国人を対象とした集会が二つある。

 ひとつはInternational Christian Fellowship というグループで、毎週日曜日に大連市内のスイスホテルで行われている。1回目の礼拝は9時から10時半までの英語による礼拝である。2回目は10時45分からの韓国語と英語による礼拝で、どちらも大体30人くらいの出席者である。前者は主に欧米系の人たちやインド人が集まり、後者は韓国人がほとんどである。日本の人も数人出ているようで、英語の礼拝の折にお会いすることがある。両方とも説教をされるのは韓国人女性の方で、ご夫妻で活動されているようである。

 もうひとつの外国人を対象にした集会は元イギリス大使館のあった場所にあるビルの中で、同じように毎週朝10時から開かれている。こちらは中国人の方が説教や奉仕をされていて、来訪される日本人の方も多いので礼拝は日本語と中国語で行われている。こちらの礼拝はホーリネス系の集会のようで、International Christian Fellowship に比べると、やや熱気を帯びていて、圧倒されるところがあった。

 これら2つの集会は大連在住の日本人の方に教えていただき、行ってみたが、その後大連に出る折にはInternational Christian Fellowshipに出席している。時々このような集会に出て英語や日本語の説教を聞くのもなかなか刺激となっていいものである。
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