大連だより・日本語教師雑記 C

ショッピングモール&テレビ

 こちらに来て3ケ月が過ぎた。毎日の生活から気がついたことをいくつか書いてみたいと思う。私が勤務している学校は大連市内からかなり離れていて、荘河市というところにある。しかし、行政的には大連市に属している。人口は約90万人で、町田の2倍ほどである。街の商業規模などを見てみると、中心部に一極集中的にあるだけで、町田のようにあちこちに大きなショッピングセンターがあるというわけでない。従って何か買い物となると毎回同じところに行くことになり、同じようなものを買うということになる。

 ここには「新天地」というショッピングモールがあり、ここを中心にして周辺にデパート、レストラン、劇場、商店がたくさんある。私の場合、買物はこの「新天地」でもっぱらしており、この中にはスーパーマーケット、中国製ブランド衣料品店、食堂街、電気製品販売店、カメラショップ、ケンタッキーフライドチキン等があり、ここだけで日用品はすべてそろってしまう。周辺の商店と比べるとここは値段が少々割高であるが、品質がいいので、安心して買うことが出来る。

 スーパーマーケット以外では、値引きも可能であり、こちらの人と一緒に買い物をすると、私に代わって値引きを求め、しかも要求する値引きの割合も大きいのには驚いた。私ならば10パーセントも割引してくれるならば、もうそれだけで十分だと思うが、彼らのやり方は30 〜40パーセント位平気で値引きを求める。見ていると、その駆け引きが大変激しく、どちらが買い物をしているのか分からないくらいである。若い女性でもその値引き交渉は壮観である。商店によっては商品に値段がついていなくて、外国人となるとかなりふっかけることがあり、ディスカウントを求めても応じてくれない。その点「新天地」では、どこも値札がついているので、困ることはない。

 冬が近づくに連れて、街中ではサンザシの氷糖葫芦売りと焼き芋屋がよく見られるようになった。これらはいわば冬の風物詩とも言えそうである。サンザシの氷糖葫芦売りは自転車の後部にサンザシを立てて売り歩き、一方、焼き芋屋はリヤカーを改造して、荷台にドラム缶を乗せ、その中に火をおこし、さつま芋を焼いている。サンザシは1本1元で売られている。焼き芋はまだ買ったことがないので、値段は分からない。

 毎日見ているテレビに関して、レポートしてみたい。中国のテレビ放送は言葉が分からなくても十分楽しむことが出来る。しかも、チャンネル数がたくさんあり、日本にはないチャンネルとして京劇専門、クラシック音楽専門、報道ニュース専門、児童向けそして英語専門のチャンネルがあり、児童向け放送を除いて毎日12時過ぎまで放送している。もちろん日本でもCSテレビでは報道専門や音楽専門のチャンネルはあるが、こちらは有料番組ではなく、無料で普通に見ることが出来る。

 夜のゴールデンアワーとも言える7〜9時台の番組では毎日のように日中戦争時代を題材にした歴史ドラマが放映されていて、それには必ず日本人の軍人が出てくる。彼らは中国人俳優が演じているが、もちろんせりふは中国語で、時々片言の日本語が出てくる。以前は「日本鬼子」と言われるような、極端で、しかも残忍なイメージの俳優が多く見られたが、最近はあまりそのような例は見られないようだ。しかし、ある時日本人をイメージした女性が出ているドラマを見たが、着物の着方といい髪型といい全くおかしな姿をしているのには驚いた。最近中国の映画やテレビで活躍している日本人男優がいる。名前は分からないが、かなり人気があるようである。日本のテレビで彼の活躍を伝える番組を見たこがある。

 学校の寮では日本のNHK WORLDと韓国語放送を見ることが出来る。NHK WORLDは特別海外向け放送で、対象は海外在住の日本人と全世界に向けて放送している。全放送の3分の1は英語によるものである。はっきり言って大半はあまりにも教育番組的で、面白くない。ニュースや日本文化の紹介番組のような興味ある番組もいくつかあるが、大半はつまらない。大きなホテルなどで見られるNHK放送はNHK WORLD とは異なり、BS放送である。日本とは1時間遅れであるが、そのまま見ることが出来る。NHK WORLDと比べると、韓国語放送は全く対照的である。時たま見ることがあるが、こちらはバラエティ番組や歌番組、ドラマなど娯楽番組がたくさんあり、見ているだけでも面白い。ただ言葉は全く分からない。

 テレビ番組には全国放送のCCTVと地元放送がある。前者は1チャンネルから10チャンネルまである。最近知人に教えられて、金曜日と土曜日の3チャンネルで夜7時半から8時半まで放映される「週末喜相―笑星大聯盟」という番組を好んで見ている。日本のバラエティ番組と同じような感じであるが、ただ日本の番組のようなあくどさや軽薄さがないのがよい。毎回さまざまなゲストが登場し、コントあり、マジックあり、歌あり、相声(中国漫才)ありで、大いに楽しむことができる。

 最近地元の大連電視台1チャンネルで、日曜日午後3時から30分間日本語番組があるのに気がついた。二人のアナウンサー(一人は中国人、もう一人は日本人)がニュ−スや取材等で日本との関わりを地元密着で伝える、なかなか面白い番組である。大連には日本の企業がかなり進出しており、在住日本人も多いのでこのような番組もあるのだろうと思う。
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