大連だより・日本語教師雑記 

大連を楽しむ

 中国に来て2カ月が経った。10月と言えば、日中はかなり暖かいが、朝晩はやや寒くなり、日本の11月下旬頃の気候である。10月1日は「国慶節」で祭日、さらにその前後9月29日(土) から10月7日(日)まであわせて9日間が休みになった。学校や会社などは9日間まるまる休みである。こちらに来てから初めてのまとまった休日で、このように長い連休は中国では3つある。国慶節の連休と共に、1月下旬から2月にかけての「春節」と5月はじめの「労働節」で、いずれも1週間ほどが休みになる。最近では5月の労働節を日本と同じように”Golden Week“と呼んでいる。春節の場合、学校は1月15日あたりから2月いっぱいは休みになるそうで、1カ月半ほどのずいぶん長い休暇が取れそうなのには驚いた。

 国慶節の休みには、今まで大連市内をゆっくり歩く機会がなかったので、毎日のようにあちこちを訪ねてみた。まず前から訪れてみたいと思っていた中山広場の日本統治時代の建築物を見ることとし、早速出かけてみた。写真などでよく目にした建築群であるが、なるほど急変貌する現在の大連の中で、今も昔の建物が残っているのが、この中山広場である。ここはかって大広場と呼ばれていた。日本の手で建築された大連市役所(現在は中国工商銀行)、東洋拓殖大連支店(現・中国実業銀行)、中国銀行(現・中信実業銀行)、横浜正金銀行(現・中国銀行)、関東逓信局(現・郵政局)、朝鮮銀行大連支店(現・中国人民銀行)、大連警察署(現・遼寧省対外貿易経済合作庁)、大連ヤマトホテル(現・遼寧賓館)等の建物がそのまま残され、現役で今も使われている。

 広場を取り巻くこれらの華麗な建築群は上海のバンドに残る建築群と劣らないほどすばらしいものが残っている。他にも満鉄関係やロシア時代の建物もあちこちにあり、丹念にひとつひとつ見ているだけでも興味が尽きない。

 大連で見たいと思っていたもうひとは「大連京劇団」の京劇である。現在この劇団が使用している建物は戦前に建てられた東本願寺で、その本堂が劇場として使われている。この劇団は日本でも公演したことがあるそうで、ロビーにはその時の写真が掲示されていた。たまたま見に行った日は「麒麟舞台開幕10週年御祝演出劇目」と銘打った公演の初日で、次のような3つの出し物があった。

①  「洗浮山」(浮山山賊掃蕩記)
②  「女起解」(女囚を移送)
③  「小商河」

 今回この劇場所属の一級国家演技人である李萍(リーピン)楊赤(ヤンチー)は出演していなかったが、彼らに次ぐ楊程と肖迪が出ていて力のある演技を見せてくれた。公演時間は全部合わせて2時間ほどで、どれも大変迫力があり、時間を忘れるほどであった。せりふは舞台脇のボードに逐語訳が出るが、ただ、それらを十分理解できたわけではないので、ストリーが必ずしもよく分かった訳ではない。それでもうっとりするようなせりふまわしと音楽には十分魅せられたと言ってもいいだろう。

 大連には日本企業がかなり進出しており、はっきりとした数字は分からないが、日本人駐在員やその家族等かなりいるようである。街を歩いても日本人を対象とした様々な施設が目につく。日本総領事館やJAL、全日空が入っている森茂ビルの周辺には日本語で書かれたレストランや飲み屋などの看板がたくさんある一画があり、一瞬日本の街を歩いているような気がした。大連では、「Whenever 大連」、「コンシェルジュ大連」、「Look大連」、「R’s Romantic  Street」と言ったような日本人を対象にした情報誌がいくつも出ており、何ら不自由を感じることなく生活が出来そうである。

 東京に住む知人の紹介で、大連在住の三上吉彦氏が経営する「琵琶咖啡店」(Pippas Coffee Shop)を訪ねる機会があった。ここは単にコーヒーショップというよりは日本人との交流の場と言ってもよさそうである。大連在住の日本人はもとより様々な国籍の外国人も、また、もちろん地元の中国人もたくさん訪れている。毎週水曜日の夜には、英語の集まりがあり、そこには多くの人々がやって来る。たまたま私が行った時は国慶節の休みにぶつかたので、あまり来る人は多くなかったようであるが、12、3人ほど来ていた。特別何かを行うという訳ではないが、好きな時に来て、好きな時に帰るといった具合で、4,5人のグループで飲み物を飲みながら自由に話をしていた。会話の練習はもとより、様々な情報交換の場と言つてもよいかも知れない。この日はアメリカ人、カナダ人、中国人、韓国人たちが来ていた。同じように日曜日は日本語を話す集まりがあるそうである。今後時間があればこちらにも出てみたいと思う。

 大連に行かれる機会のある方でもし興味があるようでしたら、ぜひこの「琵琶咖啡店」を訪れてみては如何でしょうか。観光旅行では得られない生の中国や大連の情報を得ることが出来るかも知れない。アドレスと電話番号は次の通りである。

   アドレス:大連市沙河区黒石礁44号―5
   電 話: 0411-88122144

    ホームページwww.threeweb.ad.jp/logos/china/
inserted by FC2 system