大連だより・日本語教師雑記 @          

赴 任

 8月26日、東京から大連に到着した。飛行時間は2時間半ほどで、思ったほど長い時間ではなかった。先任者の浄土信之氏と学校関係者の出迎えを受けて、赴任先の「大連外経貿日語学校」へ向かった。学校は荘河市というところにあり、大連空港から2時間ほどのところである。想像していた以上の遠さである。かなりの距離があった。行政上は大連市区域に入るようである。

 学校は街の中心から少し離れた岡の上にあって、遠くに小高い山々を見渡すことができ、学校の教育環境としては申し分ないところである。しかし、学生も教員も全員寄宿舎で生活するため、24時間学校の中にいて、少々窮屈な感じがしないでもない。このような生活は初めてなので、戸惑うことばかりだ。何と言っても、心配は言葉の問題である。もちろん、中国語は不完全だし、日本語が十分通じるかが気がかりである。しかし、いざ着任してみると日本語を話す先生がたくさんいるようなので、何とかなるだろうと安心した。

 学校は9月1日(日)からスタートした。1日は日曜日であったが、授業が行われた。新学期の開始だからといって、始業式のようなものは一切なく、そのまま授業が開始された。本校は日本の短大に相当するようで、学生の年齢は17、8歳から21、2歳あたりまでで、中には27歳という学生もいる。いったん働いた後、勉強したいとか仕事上の必要から入学したという。学科は日本語、韓国語、コンピューターの3コースあり、私が教えるのは日本語コースである。全部新入生である。4クラス担当することになった。同じ日本語コースでも、2年制と3年制とがある。

月曜日から本格的な授業が行われるのかと思っていたら、新入生だけ月曜日から金曜日まで軍事訓練があり。1週間丸々授業がなかった。この1週間、地区の軍関係者の指導で軍事教練が行われた。それは国慶節の北京天安門広場で見るようなパレードでの行進の練習そのものである。中国の学校では必修とのことである。日中の炎天下でも誰一人文句を言わず、もくもくと訓練に励んでいた。この成果は8日(土)に披露されることになっている。その日は入学式で、式の終わった後でクラスごとに、訓練の成果が披露されるそうだ。

 入学式は簡単なもので、淡々と進められた。最初に国歌が流され、国旗の掲揚があり、ついで各クラスごとの代表学生による決意が述べられ、その後学校関係者や来賓の挨拶があるなど、全部で1時間くらいかかっただろうか。この後、5日間訓練を受けた成果を披露する時間となり、クラスごとに5分間程度のデモンストレ−ションが行われた。特別優劣をつけるというわけではなかったが、学生たちにとっては大変緊張を強いるものであったようだ。式の後は、新入生全員での写真撮影がおこなわれた。私たち外国人教師も加わるよう請われて、撮影に臨んだ。日本と比べると、何もかも異なり、驚くことばかりだが、しかし、所詮比べてみても仕方がないことで、ここは中国だということを十分頭に入れておかなければならない。

 こんな風にして1週間はあっという間にすぎてしまった。これからどんな風になっていくのか楽しみでもあり、同時に少々不安もないではない。
inserted by FC2 system